奈良美智:君や僕にちょっと似ている

奈良さんの個展へ。今、同時代に生きていること、それから奈良さんの作品を見続けられることを幸せに思う。

マイベストを決めなくちゃいけないとしたらIn the Milky Lake あぁでも真夜中の巡礼の彫刻も好きやし、レトロな額縁の小さいのも良かったし、寝てる子の大きいのとか、ドローイングとか、常設で昔のを見られたのも幸せ・・・とか、ずっと余韻にひたる。

何がすごいって、やっぱりたくさん描いてきはったことがすごい。

レゾネを通じて、まったく同じに見えるようなドローイングが、何年か経て、色を重ねて一枚の絵になることに驚いた。今回の展覧会では、何枚もの絵を描いているから、顔のどの角度のことも分かって、彫刻も作れちゃうんやなと思った。印象に残る数々の目。一枚の作品の前に立つと、たくさんの目がすり抜けていくイメージが湧いてくらくらする。

たくさん描く中から、何かが抽出されているのやろう。だから”君や僕にちょっと似ている”なにものかの絵になる。それって、仏像にも通ずるんちゃうか。60歳、70歳、80歳になった奈良さんの絵は、きっともっとすごい。