なんくるない(よしもとばなな 著)

ばななさんは優しいな。世の中と折り合いをつけられない人を見つめる視線が本当に優しい。昔の作品では、そういう人たちがもっと繊細な感じで、自分の世界を守るために世界ときっぱり距離を取ってた感じがする。最近の小説は、ちゃんと日常生活を送っていて、結婚したり子どもを生んだりしていて、ただひたすら生きることに一生懸命。「一生懸命」ということを、こんなに実感させる文章ってすごい。