詩について考える3

江國香織さんの文章が詩情にあふれていることに、今さらいちいち感動する。
落下する夕方』の中の「清潔は孤独。」という一文。小説なので、清潔をさすのがベッドのシーツであり、彼がいなくなったことを主人公が寝床で実感する文脈を読み進めなければ意味は通らないけれど。このシーンを締めくくるこの一文は、すごい。こういうところに詩情があると思う。

詩って何か。私には到底理解が及ばないけれども、詩には飛躍が必要だと言われる。
シーツがシーツのままだと詩にはならないけれど、シーツの中の清潔さから「孤独」までの飛躍は、正に詩情なんちゃうかな。主人公の寂しさとか、性とか生の猥雑さとか、時間の過ごし方とかが含まれていて、一気に想像がふくらむ。そういうものが詩情ではないかと思う。