NHK朝の連ドラ

数年前、NHKの朝の連ドラを毎日見るような人になりたいと思っていた。その頃は朝8時に起きていることなんてほとんどなかったし、毎日不規則だったので「NHKの連ドラを見る=ちゃんと生活をする人」のイメージ。毎日同じ時刻に起きて家事やいろんな活動をする人。それだけじゃなく、NHKの朝の連ドラに対する独特のイメージがあったのやと思うけど。


梶井照陰さんの『限界集落』(FOIL)の中に出てきた、80歳くらいの一人暮らしのおばあちゃんの言葉も心に残ってる。確か「毎朝NHKのドラマが始まる時にはテレビの前に座る。今は、それが人生で唯一の楽しみ」というコメントやった。人が絶対的に少ない場所でのお一人暮らしなんて想像もつかへんけど、きっと外からの刺激とか日々の大きな事件は少ないことと思う。毎日ひたすら自分に向き合うような生活なんちゃうかな。


そういう暮らしの中でNHKの朝ドラを楽しみにしているというコメントは、さりげないけれども実は意味の重いものやと思う。生きてこられた長い時間を感じさせる言葉。毎日同じ時刻に始って15分だけ物語が進む「連ドラ」は、きっと彼女の日常のリズムとなっている。家族と過ごすような、毎日のリズム。


NHKの朝の連ドラにそういう憧れを持ち続けた数年間。今は、生まれて初めて連ドラをほぼ毎日見ている。


井上真央ちゃん、可愛い。ほんまに毎朝可愛い。そして物語の進行具合にしろ、キャストにしろ、つくづくよくできている。NHKの朝の連ドラは、日本の母たちの心を何十年も支え続けてきたんちゃうかなぁ。